人気ブログランキング | 話題のタグを見る

色々な染め方~草木染の可能性~

草木染は浸染と言って液体に浸してその上、煮染だ。

グツグツと草木を煮出して色素を抽出する方法だから、友禅や紅型のように刷毛で染色をして型紙を使って生地の上に模様を描くことなんて、草木染ではできない思っていた。

まぁできるとしたら、後からシルクスクリーンで印刷するか捺染のように、版画のようなハンコのような押し型にインク、染料を使って、染めた生地の上からをペタペタと押し当てて模様を印刷する方法ぐらいだと考えていた。

ところが、いろんな染料屋さんのHPやカタログを観ていくうちに、どうやら浸染でも型染が可能なことを知り、どうしても、その方法を試してみたくなってきた。

もちろんこれは、自分の興味からの行動でもあったが半年ほど前にある作家さんとの草木染コラボを企画したことから、どうしても草木染に印刷以外の柄が出せないかとの要望をいただき実際に試してみるチャンスを得た。

ということで、ネットであちこちの染料屋さんから材料を購入して、早速試した結果を今回、報告させていただきます。

まずは、濃染処理と言って木綿を染める前の前処理があるんだけど、やっぱ染料屋さんから「濃染処理剤」って商品名で販売されている。

同じ植物、つまり染料を同じスペックの木綿生地で染料も同じ重量、浸染する際の浴比など濃染処理以外はすべて同じ条件で染める。

もちろん、同じ容器で染めたんでは意味がないので容器は別にする。

使った生地は晒し木綿、いわゆる着物などを着る際に胴回りに巻く晒し、日本手ぬぐいにもなる生地をネットで購入したものを同じ長さにカットして染めてみた。

晒し木綿10g
アルミ先媒染5%
コチニール10%
浴比1:200

染料メーカーA社
色々な染め方~草木染の可能性~_b0224776_10392280.jpg



染料メーカーB社
色々な染め方~草木染の可能性~_b0224776_10403259.jpg


たかが、濃染処理剤と思うなかれ!こんなに違う結果が出るとは思わなかった!

この他に、媒染処理を掛ける前に晒し木綿を洗濯したものとしないものを試してみたが染色度合いの違いは見て取れなかったが、生地を作る工程で使われたと思われる不純物が反応してシミがところどころ、斑点のようにできてしまった。

実のところB社はA社とは違い単純に濃染処理剤だけで、工程が済むわけではなく濃染処理の前後にpH値を調整するとか、濃染処理工程だけでも3段階くらいの処理をしている。

そのせいもあるのかどうかはわからないが、B社の方はコチニールの木綿染では考えられないほど発色がよく彩度が上がった色となった。

比色(画像向かって右がA社左がB社)
色々な染め方~草木染の可能性~_b0224776_1050467.jpg


次に、型を使った染色。

こちらも染色は同じ条件で6枚、それぞれ違う防染糊や助剤を変えて染色して、内1枚だけ、上記濃染処理剤をA社で試してみた。
今回の型染用に使った型は、ステンシル用のプラスチックフィルムにイラレでデータを作成しカッターで切り抜いたものを使用。

使用したステンシル用フィルム
色々な染め方~草木染の可能性~_b0224776_11223163.jpg


1.上記B社(以下B)の助剤
色々な染め方~草木染の可能性~_b0224776_1115094.jpg


2.B助剤(洗濯ナシ)
色々な染め方~草木染の可能性~_b0224776_1121740.jpg


助剤を塗布した部分だけ染色され、それ以外の部分は染色されない状態の仕上がり。

1.2の違いは処理前に洗濯をしたかしないかの違いのみだが、仕上がりが滲んでしまった大きな違いの原因は初めてこの助剤を使ったという単純な不慣れというもの。

1は型以外に筆を使って文字を書いたが、滲んでしまい変な模様のようになってしまった。

思ったより助剤に粘性がなく、サラサラしてるので型の上から塗布しているそばからどんどん生地に沁みこんで、滲んでいってしまった。

この滲みを解消するために、助剤を塗布後すぐに肩を外しドライヤーで塗布部分を乾燥させて滲みを防いだ。

2の方はなるべく、滲みを防いだためかきれいに型どおりに染まってくれた。きれいに染まった原因として他に考えられるのは、洗濯をしないことにより生地に撥水性が残っているということだと思われる。


3.B着抜剤
色々な染め方~草木染の可能性~_b0224776_1113138.jpg


型の上から着抜剤を塗布後処理。
花柄の部分だけ、着抜され色がピンク色に変わっている。
こちらの着抜剤は、錫着抜と言って塗布した部分がアルミ媒染から錫媒染の色に変わるという不思議な助剤だ。

4.B防染糊
色々な染め方~草木染の可能性~_b0224776_1115027.jpg


防染糊が一番オーソドックスな型染だと思う。
一度、この防染糊は試染をしたので粘性や癖がわかっていたせいもあってか滲みもなく一番きれいな仕上がりとなった。

5.C社防染糊
色々な染め方~草木染の可能性~_b0224776_11183093.jpg


こちらの防染糊は、天然染料には適さないと説明書に書いてあり、メーカーのHPに染料の違いの使用例画像がありその写真通りの仕上がりとなった。

しかし、このメーカーの防染糊の良さは筆で描けるとの宣伝文句どおり粘性も筆で描くにはちょうどよくにじむことがなく描けることができた。

6.上記A社濃染処理後、B着抜剤
色々な染め方~草木染の可能性~_b0224776_112431100.jpg


3の着抜剤と同じ処理をしたが、濃染処理剤が違うメーカーもあり相性のせいか柄の部分が白っぽくなってしまった。

以上、今回6パターン試してみたが、初回ということとあり滲んでしまうなどの技術的な未熟さが現れた結果となってしまった。

しかしながら、どれも自分の草木染の可能性をとてつもなく大きくしてくれるになったことはとても満足のいく結果となった。

次回は、ステンシル型ではなく型染専用の型で試して練習を重ね商品づくりに生かしていく所存でございますぅ~!!!
by itzeboo | 2012-12-21 11:47 | 工程


湘南の染めもの屋


by ITZEBOO

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
告知
展示
コンセプト
作品

ボランティア活動
工程
デザイン
イベント
出張草木染
ワークショップ
コラボ
お仕事
卸売(仕入)
未分類

外部リンク

以前の記事

2021年 09月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 08月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2018年 11月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 02月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 05月
2011年 04月

フォロー中のブログ

メモ帳

最新のトラックバック

ライフログ

検索

タグ

その他のジャンル

ブログパーツ

最新の記事

引っ越します
at 2021-09-13 15:50
11月&12月のイベント出店..
at 2019-11-11 14:25
10月のイベント出店予定(^..
at 2019-10-06 15:11
9月のイベント出店情報(^O..
at 2019-08-31 13:58
5、6月のイベント出店(^O..
at 2019-05-12 10:36

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

ハンドメイド
ファッション

画像一覧